「2022年度決算」松田社長会見要旨
2023年4月27日
北陸電力株式会社
本日は、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。日頃、皆さまには、当社の事業運営に格別のご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。
まず、資料1「2022年度決算について」をご覧ください。
はじめにスライド1の「販売電力量」ですが、小売販売電力量は、262億7千万kWhと、前年同期に比べ18億1千万kWhの減少となりました。
これは、電灯で冬季の気温が前年より高かったことにより暖房需要が減少したこと、電力で契約電力が減少したことや工場の操業が減少したことなどによるものです。
また、卸販売電力量は、64億2千万kWhと、前年度に比べ16億7千万kWhの減少となりました。これは、卸電力取引所などへの販売が減少したことによるものです。
この結果、総販売電力量は、326億9千万kWhと34億8千万kWhの減少となりました。
次に、スライド2で「連結決算概要」について説明いたします。中段の表をご覧ください。
連結売上高(営業収益)は、8,176億円と、前年度に比べ2,038億円の増収となりました。
これは、燃料価格が高騰したことにより、燃料費調整額が増加したことなどによるものです。
また、連結経常損失は937億円と前年度に比べ760億円の減益、親会社株主に帰属する当期純損失は884億円と816億円の減益となりました。
これは、「主要諸元」にございますように、大幅な燃料価格の上昇によるものであり、特に当社主力の石炭につきましては、2022年度の全日本通関CIFは358.1$/tと、前年度を約2倍上回る大幅な上昇となっております。加えて、為替レートにつきましても、2022年度の平均が135.5円/$と、23円/$程度の大幅な円安となっております。
続いて、スライド3で、前年度からの連結経常利益の変動要因について説明いたします。
まず、悪化要因につきましては、燃料費調整単価の上限超過により120億円程度、加えて、先ほどの燃料諸元にございますように、石炭価格等の燃料価格高騰影響により880億円程度の悪化となっております。
一方、好転要因として、安定供給に支障のない範囲で、あらゆる施策についてゼロベースでの見直しを行った、緊急経営対策本部での取組みについて、日々のきめ細やかな需給運用などで計画140億円を上回る150億円程度の改善、発電設備修繕費などの設備関連費用の減少により60億円程度、先月、労使合意の春闘による人件費の減などにより30億円程度となり、連結経常損失が937億円となったものです。
このように、電力の供給コストが電気料金収入を大幅に上回る状況が続いておりました。そのような状況から、お客さまには電気料金のご負担をお願いしているところでございます。大変心苦しく、申し訳なく思っております。何卒ご理解のほど、お願いいたします。今後も電力の安定供給に万全を喫してまいりますので、よろしくお願いいたします。
次に、スライド4で「2023年度業績予想および配当予想」について説明いたします。
現在、経済産業省へ認可申請を行っております規制料金が審査中でございます。認可の時期および審査内容が未定であります。このことから、販売電力量、売上高等々については見通しすることができません。2023年度現時点においては、「未定」とさせていただきます。
次に、配当についてですが、2022年度の決算は厳しい状況でございます。期末配当につきましては、公表のとおり「無配」、また、2023年度中間配当予想も、大幅に毀損した財務基盤を回復させることを優先する観点から、「無配」とさせていただきます。
期末配当予想につきましては、現時点では「未定」としております。今後の収支・財務状況などを勘案のうえ、総合的に判断してまいりたいと思います。
2022年度は主に燃料価格高騰が要因ではありますが、大幅な損失となり、期末および中間予想とも無配とすることについて、株主やステークホルダーのみなさまには大変申し訳なく思っており、深くお詫び申し上げます。
今後も当社の最大の使命である電力の安定供給を確実に行うともに、継続して経営基盤強化に取り組み、経営効率化を図り、毀損した財務基盤の回復および今後の成長に向け努めてまいります。
次に、当社および北陸電力送配電株式会社の役員等人事についてご説明いたします。
資料3をご覧ください。
本日開催の取締役会において、役員等人事について次のとおり内定しましたのでお知らせいたします。当社の役員等人事については、6月28日開催の第99回定時株主総会および株主総会後の取締役会を経て、正式に決定する予定です。
また、北陸電力送配電株式会社の役員人事については、6月29日開催の同社の第4回定時株主総会および株主総会後の取締役会を経て、正式に決定される予定です。
続きまして、資料4「北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>」について説明いたします。
2019年4月に公表した長期ビジョンにおいては、2019年度から2030年度までを経営計画の対象としておりましたが、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う燃料価格・卸電力市場価格の高騰・高止まり等、当社グループを取り巻く経営環境は激変しました。
このような中、計画の前提が余りにも乖離し、従来の延長線では計画が成り立たない状況です。そのため、従来の延長線ではない計画として、当社最大の使命である電力の安定供給および財務基盤の早期回復・強化に取り組むとともに、脱炭素化や更なる付加価値の提供によりお客さま・地域とともに持続的な発展を目指した、新たな中期経営計画を策定しました。
「Ⅱ.新中期経営計画の策定と目指す方向性」をご覧ください。
今回策定した新中期経営計画は、足元の経営状況を踏まえ、「北陸と共に発展する」という将来のありたい姿という基本戦略は引き続き維持したうえで今後5年間をターゲットとした計画とし、徹底した効率化の追求と事業領域の拡大により収支を改善し、財務基盤の回復強化を図ることを目指します。
そのため、経営の3本柱として、①安定供給確保と収支改善および財務基盤強化、②地域と一体となった脱炭素化の推進、③持続的成長に向けた新事業領域の拡大を設定しました。
この中で、最優先に取り組むべきは1本目の柱「安定供給確保と収支改善および財務基盤強化」であり、収支改善・財務基盤を早期に回復し、安定供給を盤石にすることが本計画の最大のミッションであり、志賀2号機早期再稼働に向けた対応やAI技術などを活用した需給収支の最大化に向けた取組みを進めていきます。
次に、2本目の柱「地域と一体となった脱炭素化の推進」についてです。
不安定なエネルギー情勢下ではありますが、2050年のカーボンニュートラル等、脱炭素化に向けた対応が更に大きな課題となっており、対応を加速していく必要があります。
電源の脱炭素化は勿論のこと、自治体と連携した北陸地域の脱炭素化にも積極的に携わり、引き続き、エネルギー事業者として責任をもって脱炭素化の対応を進めるとともに、地域のカーボンニュートラルをリードする先進企業を目指し続けてまいります。
次に、3本目の柱「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」についてです。
これまでもお客さまや地域の課題解決に資する様々なカーボンニュートラルサービスを実施してきましたが、これらエネルギー事業の推進だけでなく、エネルギー事業の枠にとらわれず新しい付加価値を提供し、新事業領域拡大を推進することで、当社グループの持続的成長を図っていきます。
また、これら3つの課題への対応を推進していくため、経営基盤を支える取組みとして、働きやすい職場づくりの推進や、労働生産性の向上、コンプライアンスの徹底・強化等に取組んでまいります。
最後に、「2.2050年に向けた成長のイメージ」をご覧ください。
当社の基盤である電気事業は引き続き、コア事業としつつ、お客さま・地域に対して更なる価値・サービスをご提供する観点から、当社グループ内外の技術力や知見等を活用して、カーボンニュートラルサービスや次世代エネルギーマネジメント事業、まちづくり事業、デジタル・ライフサポート事業等、電気事業の枠を超えた新事業領域の開拓を進めていきます。
そして、2050年に向けた当社グループの将来像である、「地域とともに持続可能なスマート社会」の実現を目指し、グループ一体となって挑戦し続けていきます。
以上が新中期経営計画の概要になります。なお、詳細については詳細版をご覧ください。
次に、資料5をご覧ください。小松駅東地区での複合ビルの建設についてです。
当社の小松駅東地区での複合ビルの計画について、本日の取締役会で正式に建設を決定いたしました。
本ビルの計画については、2020年11月に、老朽化に伴い建替えが必要な当社グループの事業所の集約に合わせて、電力レジリエンスの強化や地域の賑わい創出にもつなげる「小松駅東地区複合ビル」の建設を計画しましたが、その後の新型コロナウイルス感染症に伴う社会環境の変化を踏まえ、当初の計画から一旦立ち止まり、持続可能なビル運営の仕組み等について検討を進めてきました。
検討の結果、新型コロナウイルス感染症を踏まえた社会情勢下においても、多目的ホール等の利活用の有効性があることや、昨年9月に発足した地元関係者で構成される「小松駅東複合ビル利活用促進協議会」を通して地域一体となったビルの持続的な運用体制が整ったことなどを踏まえ、本日、本ビルの建設を決定いたしました。
当社は、協議会はじめ地元の皆さまの熱い期待をしっかりと受け止め、地域に根差し、皆さまから末永く親しまれ、南加賀、ひいては石川県、北陸全体の発展に寄与するよう、本ビルの開業に向け建設工事・ビル運営に取り組んでまいります。
私からの説明は以上です。